松川、いたち川が、洪水時にもほとんど水位があがらなければ(つまり、運河化できれば)、ヴェネツィア、アムステルダム、サンアントニオのような水際のカフェやホテルが可能になり、また、遊覧船も安全に航行できるようになり、富山市中心部を「水の都」にすることが可能になる。これはコンパクトシティ富山にとって、大きな魅力となる可能性を秘めている。それを実現するための一つの方法が、いたち川上流部から分流路(具体的には地下トンネル。地下河川)をつくり、一定以上の水位になった時に、分流路を通って、神通川に水を流してやるという方法である。松川は上流の水門でゼロカット(水を入れない)が可能(注:ただし、神通川の水位が上流の高山などの大雨で上昇した場合は、神通川に放流できなくなるので、ゼロカットはできない。排水機場を作れば神通川の水位が高くても神通川に放流できるかも)で、これまで大雨の時に合流式の下水と共に松川に吐き出されていた汚水も、現在建設中(2018年5月に供用が開始されました)の松川貯留管で軽減できるため、今後はいたち川の増水・水位上昇の課題解決に取り組む必要がある。(2018年9月3日注:富山市上下水道局下水道課に確認したところ、貯留管に入るのは、大雨の最初の頃の汚泥の濃い水だけで、その後の大雨で薄まった合流下水については、これまでどおり、松川に流れ込むということです。なので、貯留管には水位低減の能力はないようです。貯留管の容量が限られているので仕方がありません。【2022年9月23日追記】貯留管の中は、大雨の時に下水管がいっぱいとなり、松川に流されていた合流下水のうち最初の部分を収容する部分と、平和通り沿線を中心に合流下水が貯留管に流れ込む部分と、2つに分けられています。ですので、平和通り沿線を中心に貯留管に流れ込む合流下水が、本来、松川に流れ込んでいたかもしれないと考えると、「貯留管には水位低減の能力はない」は言い過ぎで多少はあるかもしれません。ただ、それでも2022年時点でも橋桁の近くまで水位が上昇したことを考えると、やはり、下流で合流するいたち川の水位上昇が意外に大きいのかもしれません。これを解決する方法の一つの案が上記の分流路案(地下トンネルがよいのか、何がよいのかわからないが)である。ひとつのきっかけになることを期待したい。なお、当然のことながら、魚道の設置など、生態系に配慮した対策が求められるのは言うまでもない。

なお、逆サイフォンの原理を使えば、神通川への放流は、ポンプアップしなくても可能かも。

農林水産省の標高サイトより
http://maps.gsi.go.jp/#17/36.689053/137.222779/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0f1

いたち川延命地蔵尊上流の水面の標高

神通川側の水面標高

 

逆サイフォンとは
http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/isibasi/siphon.html
図に示すように、管が水面の上にあっても、ある程度の高さまでは入口と出口の水位差で自然と水が流れます。このような管をサイフォンといいます。身近な例では、灯油をストーブに入れるときの灯油ポンプ。これにサイフォンの原理が使われています。
一方、逆サイフォン(伏せ越し)は、サイフォンを逆さにしたものです。水の流れが目に見える開水路(かいすいろ)がつながっていなくても、ある程度の水位差をもたせることで、入口からは水が吸い込まれるように入っていき、出口からは吹き上がるように水が出てきます。


【追記】
上記の試案では、稲荷公園付近からも赤江川の水を取水するというふうになっていますが、よく考えると、難しいかもしれません。ここの水位(標高)がいたち川の取水口の水位よりも低い場合、水が吹き出てくるくることも考えられます。逆サイフォンは、1つの取水口、1つの放水口、途中に管は設けず密閉に、というふうにした方がいいと思われます。もし赤江川の水位安定を目指すなら、赤江川の下に別の逆サイフォンを作る必要があると思われます。ただ、赤江川は、常西合口用水の排砂用水路としての役割もあったと思うので、砂が多いと思われるので、逆サイフォンの管が砂に埋まらないような対策も必要になってきますね。。。(2020/12/1)

【追加2】
『松川雨水貯留施設 松川の水質保全と浸水被害の軽減が目的』(月刊グッドラックとやま 2022年10月号)(リンク